柴又100K

Essential Points of Event/Race

第8回(最終回)
いよいよ本番。目標達成のために、当日までにできること、当日やること。

本番のレースが目の前に迫ってきました。ここからはもう特別なことはせずに、疲労回復を最優先にした生活と、コンディションを落とさないためのランニング、ウォーキングを続けましょう。

胃腸の調子アップ、十分な睡眠で準備万端に

カーボローディングを行う人もいますが、上手くできてもフルマラソンぐらいの距離までしか持ちません。ウルトラマラソンでは、レース中の給食と給水が重要になります。このためには胃腸の調子が良いことが重要で、最後まで食べて飲めることが大切になります。レース前でも普段通りの食生活でOKです。腹八分で胃腸の調子を整え、レース中の給水給食を確実に行える体調を作りましょう。
前夜、緊張で一睡もできなかったという人がよくいます。でも横になっているだけで身体は休まるので気にする必要はありません。直前の4週間でしっかり睡眠をとり疲労を抜いていれば、100kmを走ることには問題はありません。
会場ではトイレが混んで焦ることも。朝食後、スタート前までに済ませるのがベストですが、レース前半ならまだ余裕があるので途中で用を足しても大丈夫。ただ、50km過ぎてからの和式トイレは脚に負担がかかり辛いので、前半のトイレの場所を確認し、早めの段階で済ませるように意識しましょう。

50km過ぎてからがウルトラの醍醐味

スタートしたら周りのペースに惑わされてオーバーペースにならないように。後半走れなくなってから歩くのではなく、疲れる前から戦略的にランニングとウォーキングを織り交ぜることも手です。疲労してくると関門制限の計算ができなくなり焦りが生じるので、腕など、どこかに書いておき、確認できるようにしておきましょう。
事前に走り込みができている状態ならば、体調が万全でなくても50kmくらいまでは行けてしまうもの。50km地点を過ぎてみなければ、その日の本当の調子は完全には把握できません。60〜70km以降には必ずきつい状況が生まれますが、そこをどう頑張り、乗り越えるかが、完走後の充実感につながる、ウルトラマラソンの醍醐味といえるでしょう。私はレースの一番キツイ局面で「本当に走るのが好きか」と問われている気がします。ランニングが自分にとって「特別」であることを証明するためにもゴールを目指しています。

水分補給は、早めに、こまめに、回数を多く

給水、給食は「脱水、ガス欠」の症状が出る前、早めに。食べたもの、飲んだものがすぐに吸収されるわけではないので要注意です。柴又のエイドでは水はほぼ2.5kmごと、給食は15kmからほぼ5kmごとにありますので、早い段階から少しずつ摂るようにしてください。
私は給水は10kmのエイドから、給食は20kmのエイドから少量を摂るようにしています。1回に大量の補給は胃腸に負担になり後半の補給の障害になります。水分摂取増による胃腸への負担も意外と大きく、内臓疲労にもつながり、それがレースの明暗を分けることもあるので、「少量を回数多く」を心掛けましょう。給水に関しては2.5kmごとにエイドがあるなら、よほどペースダウンと高温にならない限りボトルは用意しなくてよいと思います。
エイドでは時間を使わないようにすることも重要です。30カ所のエイドで1分ずつ使えば30分余分に時間が掛かります。後半、走ってそれを取り戻すのはほぼ不可能でしょう。必要なものを取ったら歩きながら補給するようにします。

レース中の装備と携行するもの

私は日焼け対策より走りやすさを優先しています。下半身は基本はハーフタイツ。股ズレもしにくいし、ロングタイツほど脚の動きを制限しないのでお勧めです。ランパン、ハーフパンツは脚の動きは良いのですが、股ズレに注意します。機能性タイツ(ウエア)は、メリットがありますが、脚の動きを制限するのがデメリット。自分に合うか良く考えて、練習でも試してから着用を決めてください。
上半身は、ランシャツ、半袖Tシャツ、長袖シャツを天候に合わせて組み合わせて使用しています。長袖シャツを腰に巻いておけば、後半の気温の低下にも対応できます。帽子やサンバイザーは好みに合わせて使用します。
一枚あると便利なものとして日本手ぬぐいかバンダナ。気温の低いスタート時は首や頭に巻いて保温。昼間暑くなれば濡らして首や頭を冷やします。暑い場合は氷を入れて首を冷やすことで体温をコントロールできます。ソックスは今までの練習でシューズとの相性を確認したものを使用します。雨が予想される場合は帽子を着用します。
補給食はエイドにあるものを有効に使います。私が必ず携帯しているのは塩分と糖質の補給のための飴を5〜10個程度。軽くてジェルほどかさばらないので便利です。ガス欠予防にもなります。普段から使い慣れていて、ないと困る補給食はドロップバックに入れて預けるなどして、荷物による疲労を最小限にするようにします。

ドロップバッグには何を入れる

55km地点に置くドロップバッグの中身は、後半の展開を考えて用意しましょう。一般的なウルトラマラソンでは朝気温が低く、昼気温が上がり、夕方再び気温が下がります。後半の冷えを想定して長袖シャツなど保温できる装備を入れておきます。
私の場合、右のようなものを用意します。ただこれだけ全部入れると結構な量になり、必要なものが見つからない、時間が掛かるなどのデメリットがあるので、最近はレースコンディションに合わせて必要なものだけの最小構成にするようにしています。

越智コーチのドロップバッグの中身例

 予備のシューズとソックス
(たいてい使いませんが念のため。最近はなし)
 予備のTシャツかランシャツ
 長袖シャツ
 予備の日本手ぬぐい
 後半雨が予想される場合は軽量ウインドブレーカー
 ボトルポーチ
 後半用の補給食、あめ、ようかん、場合によってはジェルなど
 更に使用したウエアを入れる洗濯物用ビニール袋
 すれ対策の白色ワセリン
 日が落ちてからの走行がある場合はライト

ウルトラのゴールは特別なもの

意外と忘れがちなこと、「走ることに集中したい」参加者がベストを尽くせるように、大会スタッフは準備から当日のエイドなどランナーのために頑張ってくれています。今までの練習の成果を生かし、走ることに集中し走ることそのものを楽しんで欲しいと思います。
走るマナーも大切。コースは河川敷でそれほど広くありません。集団で横に広がって走ったり、いきなり立ち止まったり、方向を変えたりすると接触の危険があります。レース中急に立ち止まって写真を撮ったりする人がいますが、周りのランナーの邪魔にならないよう配慮が欲しいところです。携帯電話や電子音を出す機器の使用も同様に周囲に気配りしてください。
コースは完全には交通規制されていません。地元の方やサイクリストに会ったら爽やかに挨拶をすれば、接触も防げますし「邪魔だ」などと言わずに、ランナーの好感度アップにもつながりますので試てみてください。

レース当日はあなたが主役です。走るペース、ウエアやシューズなどの装備など、全てのことを自分の判断で選び自分の脚でゴールを目指します。自分の脚で100km(60km)の距離を踏破した体験と気持ちは、お金では買えない、経験した者にしか得ることのできない特別なものです。気に入ってウルトラランナーになるもよし、懲りてウルトラマラソンをやめるのもよし。でもタイムに関係なく一生懸命ベストを尽くしたゴールは格別です。一生の思い出になると思います。

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